「ゆったりやくも」乗車記

福知山・紀勢系統の381系電車は間もなく終焉を迎えようとしていますが(福知山系統に残る「国鉄色381系」についての適当な雑文は「こちら」)、まだまだ活躍する気配を漂わせている381系もいます。

言わずとしれた・・・

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「ゆったりやくも」

ネーミングセンスの欠片もないド直球な愛称・・・個人的には嫌いではありませんよ・・・
(ついでに言うと、ゆるいのか怖いのかよくわからない謎のキャラクターも・・・)。

なお、大元をたどれば紀勢本線に投入されたグループである、国鉄色やくろしお色の381系に比べると、伯備線電化開業時に新製投入された381系は若干新しい(1980年代になってからの製造と、国鉄が製造した特急形電車としてはほぼ最後に位置するグループ)ですが、それでも車齢30年オーバーです。

物持ちいい西日本(苦笑)。




さて、8月某日。
赤い18きっぷで延々と山陰本線を乗り継いでやってきましたのは・・・

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山陰の鉄道要衝の一つ、米子駅です。
なお、浜坂駅や鳥取駅での接続が悪く、京都市内を出てから実に10時間ばかりかかりました(朝っぱらから出たのに、ついたら夕方・・・)。
登場時は堂々9連、減車されてからも6連を基本としていた、「やくも」系統の381系ですが、現在では基本編成が“4連”となってしまいました。

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ちなみに、これは下りの「やくも15号」(米子16:16発)ですが、なるほど4連です。
一応繁忙期の端くれなのですが、高速道路や航空機に押されて劣勢の陰陽連絡特急の現実を目の当たりにした思いです。

始発駅からの乗車であれば自由席にするところですが、何せこの基本4連・・・

自由席が1両だけ

・・・という、自由席利用者に優しくない編成ですので、米子という途中駅からの乗車ということもあって、念には念を入れて指定席の発券を受けました
(余談ながら、待ち時間の長かった鳥取駅で発券を受けましたが、「なんで「スーパーいなば」ではなく「やくも」で岡山に行くんだコイツは?」と、駅員氏に思われたかどうかは、定かではありません(もちろん、「本気の381系に乗るのが目的だから」ですけどね!))。

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特に号車の希望を出さなかったら、4号車が指定されました。
乗車位置表示が、無駄に(失礼)ハイテクです。

ところで、・・・4号車の指定席??

これ6連に増結されてるではないか!
(4連ならば、4号車は自由席となるため)

ということで、自由席2連(増結編成)であれば、わざわざ指定席を確保する必要もなかったのでは?・・・という説もあり。

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待つことしばし、米子16:29発の「やくも24号」が到着しました。
指定された4号車は、元サロである、サハ381の200番台でした。
窓割りがグリーン車時代の面影を今に伝えます。

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サハ381-230。

客室に入ります・・・。

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(画像はいずれも岡山駅到着時のもの。上画像は3号車のモハですね・・・)
完全に原形をとどめない車内。

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簡易リクライニングシート由来の他所の381系とは全く別物のリクライニングシート。

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曲線が妙に艶めかしい?

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低重心命な振子車としては異例の、座席ハイデッキ化。
まあ、数センチ程度のかさ上げといわれればそれまですが、このかさ上げにより、壁下のダクトの煩わしさから解放されています。

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テーブルについては、背面式・インアーム式の双方を備えています(向かい合わせの時も安心・・・って、私みたいに独り旅しかしないぼっち非コミュには、背面テーブルだけあればよいではないかという説もあり・・・orz)。

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デッキには木目調のパネルが貼られ、原形を色濃く残す他所の381系とは、やはり別物です。

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「くずもの入れ」に国鉄のノスタルジーを感じることもできますけどね!




さて、伯耆大山駅から先の伯備線はしばらく単線ということもあってか、米子で4分停車して、動き始めました。

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米子駅発車後の4号車車内はこんな感じですが、半分程度埋まっているというところでしょうか。
これも増結様々なのでしょうかね・・・。

さて、この「やくも」号に乗りに来たのは、これまで岡山駅で悶々と見送るだけだった(そら、帰省とは方向違うし・・・)「ゆったりやくも」がどんなものかを体験しよう・・・ということもありますが、

本気で曲線を突っ走る381系はもはやここにしかいない

という理由が、実は大きかったりもします。

何せ、山陰・福知山の381系は振子角度3度で、287系と全く変わらない速度ですし、紀勢路の381系も、今春のダイヤ改正で所要時間が延ばされていますので(そのまま289系に移行できるように・・・)、もはや

どちらも“本気で曲線を突っ走る”とはいえないのです・・・きっと。

それらと比べれば、伯備線は381系がその曲線通過性能を存分に発揮している最後の路線・・・ということで、主に乗り心地的な意味で楽しみにしていた次第(前ふりが10時間の普通列車乗継ぎというのがアレだけどな!)。

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さて、コンテナ列車を横目に眺めつつ伯耆大山駅を通過すると、

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山陰本線に別れを告げ、列車は伯備線に入ります。
いよいよ、381系がその真価を発揮するときが来た!
(いや、山陰本線でも振子は動作させてるけどな!)

続く曲線を、スススッと傾けながら走るのは、もはや快感です
(オマエがビョーキなだけという説もあり)。

なお、381系は我が国では最後の自然振子式車両ですが、振子制御がないゆえの振り遅れ、振り戻しは、正直なところほとんど気になりませんでした
40年以上前、中央西線で「しなの」号に投入されたときには酔う客を続出させ、一時期はエチケット袋が各席に常備されていたという伝説を持つ381系ですが、緩和曲線等の線路改良や、車両自体の細かい改良等もあってか、制御つき自然振子車と大して変わらない乗り心地を提供できるまでになったようです(もちろん、体感には個人差があります)。

むしろ、直線ですっ飛ばしているときの振動の方が、気になったくらいでした
(今年の夏に京都丹後鉄道で遭遇した「地震状態」に比べれば、可愛げなものですけどね・・・)

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大山を傍らに、南へ下ります。
しばらくは平野部を淡々と走っていたのですが、山の中に入るにつれ、だんだんと線形が悪くなっていきます。
さしもの381系といえども、曲線では抑え気味の走り(それでも、振子装備のない車両よりは速いのでしょうが・・・)。

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16:52、根雨駅に到着。
このあたりまで来ると、すっかり山の中です。

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川に沿って南下。
備中高梁以北の伯備線は単線、しかも川に沿って線路が敷設されているところが多く、さしもの381系もそれほど飛ばせない・・・というか、この線形で非振り子車を投入したらどうなることやら・・・(案外、曲線前後の加減速性能を高めることで何とかなるという説もありそうですが・・・)。

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芸備線が分岐する備中神代駅を通過すると、

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17:35、伯備線のほぼ中間に当たる、新見駅に到着です。
米子駅からだいたい1時間ですね。

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相変わらず山の中をしずしずと進んでいく・・・と思ったら、ある駅で運転停車となりました(駅名を控え損った・・・)。
単線で線形も悪く、こうして時には運転停車のため特急でありながら待たされる・・・

ソレナンテ四国?!

・・・と、独りごちてみたくもなりますが、ともかくも下りの「やくも」号を先行させます。
この状況では、高速道路のマイカーや高速バスに客をとられて減車・・・というのも、致し方ないのかもしれません。もっとも、減車はしても減便はしないところに、西日本の意地をみることもできるのかも、しれませんけどね・・・(これも四国と同様・・・)。

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18:05、備中高梁駅に着きました。
ここから南は、待ちに待った複線区間です。
速度も明らかに上がります。

速度が上がれば、振子の効きがダイナミックになるため、乗っている側としては面白いことこの上なし。

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もっとも、備中高梁駅からわずか22分で倉敷駅到着。
伯備線ともお別れですけどね・・・。

線形のよい山陽本線を突っ走ること10分ばかり・・・

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岡山電車区が見えてくると、終点の岡山駅はすぐそこです。

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18:38、米子駅から2時間9分で、終点の岡山駅に着きました。
降りてから先頭車に来てみると、すでに「回送」幕になっていました。

乗客を降ろした編成は引き上げて折り返し整備ののち、ただちに「やくも25号」(岡山19:05発)として折り返していきます。
四国特急の「即座に折り返す高効率運用」もどうかと思いますが、この「やくも」号の運用もたいがいですね・・・。

なお、岡山駅からはふたたび「赤い18きっぷの旅」に戻り、普通列車と新快速を乗り継いで京都駅に戻りましたとさ。




ともあれ、こうして伯備線の「ゆったりやくも」に生れて初めて乗車してきました(“いまさら”だけどな!)。
座席は十分すぎるレベル(あの曲線が、無駄にフィットするんですよね・・・)、内装も国鉄形とは思えないレベルで徹底的に手を入れられ、照明や天井も落ち着いたスッキリしたものになりました。
足もとの配管がハイデッキ化された床の下に格納されたことで、足もとがスッキリしたこともポイントの高いところです。

まあ、床下の空調機器から天井へのダクトはそのままなので、「1人掛けぼっち席」が残ってはいますが、そこは381系のシートピッチを無理矢理1000mmに拡大した代償ですので、致し方なしでしょうか。
むしろ、乗車したサハ381形は、グリーン車の格下げ改造車のため、座席と窓割りが一致していないところが気にならないでもないですが、シートピッチ拡大のため、どっちにしても座席と窓割りが一致していない席は全車にあるではないか・・・と言われれば、まあそれまでです。
だからこそ、座席を自由に選べる自由席はともかく、指定席に乗車するときはどの席を指定するかが問われる・・・のかも、しれませんけどね(なお、このときは最後列の1番席を指定買いしたため、窓割りには悩むことがなかったです。「最後列」以上のことを言わなかったら、なぜかD席になりましたが、川を眺めながらの景色はD席の方がよかったので、駅員氏が配慮してくれたんでしょう、たぶん・・・)。


他方で、足回りはリニューアルされても原形のままなので、

乗り心地はやはり少々残念なことに
(意外にも、曲線部よりも直線部の方が、個人的には気になりました・・・)

この「ゆったりやくも」号の381系が置き換えられるのがいつのなるのかはわかりませんが、置き換えとなった時には、他線区と同様に、通常型(非振り子)の車両が導入されるのでしょうか。
あるいは、四国や東日本がしているように、空気バネ傾斜式の車両が導入されるのでしょうか。
はたまた、まさかの新製振子車・・・。

どうなるのかは数年先にならないとわからなさそうですが、ともかくも、今後しばらくは「日本最後の自然振子車」として381系が活躍するのが、ここ伯備線になることだけは、間違いありません。

(おしまい)
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くろしおで経験

去年の熊野速玉大社から白浜に向かうまでは、381系くろしお号に乗ったが、ワクワクと眠気程度で電車に乗った感覚だが、自然振り子特有の横揺れの凄さが、なんとなく3D映画、3Dアトラクションのような感覚を味わいました。
まるで、ユニバーサルに行った気分で、3D映像をそのまま再現したような感覚が自然振り子式の魅力です。
特急やくもで、3Dアトラクションのような感覚を楽しみにしています。

最後の381系

森部藤正さん、コメントありがとうございます。
3D映画やアトラクションには無縁の人間につき、その手のものと自然振り子車両がどの程度似ているのか・・・について、私には実感をこめたコメントはできないのですが、ともかくも、「癖のある乗り心地」であることだけは間違いないと思います。

今では、紀勢本線からは純然たる自然振り子車両は淘汰されてしまいましたが(さて、制御つき自然振り子式の283系はいつまで現役を続けるのか・・・)、伯備線では“純然たる自然振り子車両・381系の本気”を体験することができます。
内装は徹底的にリニューアルされて原形をとどめていませんが(シートピッチが変わっているため、窓と座席がずれていることはありますが、その点を除けば、全体としては“良リニューアル”だと思います)、足回りは従来通りですので、“ダイナミックな走り”を、是非ご堪能ください。
プロフィール

キモプアの紙

Author:キモプアの紙
キモメン兼デヴ兼クソヲタ兼フニーターで当然の帰結として“プア”・・・。略して“キモプア”。
その中でも(まあ、ほかに“キモプア”を自称する物好きもいないでしょうが・・・)選ばれし“逆”エリートゆえに“紙”(ペーパー的な意味で・・・orz)。

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