宇和海30号

「宇和島駅」のつづきです・・・

宇和島駅
徳島駅を出て約半日。
鉄道とバスを乗継ぎ、雨にたたられることもありましたが(室戸岬で下車観光できなかった的な意味で・・・)、宇和島駅にやって来ました。
ここからは本日の最終ランナーとなる、特急「宇和海30号」に乗車です
(松山行きの最終特急列車となります)。

2101号
「宇和海」号の一部列車には、2000系の試作車である「TSE」編成が入りますが、この30号もTSE充当列車です。
平成元(1989)年に新製され、土讃線で活躍した後は、予讃線特急の増結車になってみたり、また土讃線に戻されてみたり、高徳線に回されてみたり・・・と、四国各地を流浪していたTSE編成ですが、平成15(2003)年に久しぶりに松山運転所に転属して以降、ここ10年ほどはずっと「宇和海」専属状態になっています。

TSE
TSE(Trans Shikoku Experimental(四国横断実験;四国を横断する土讃線の高速化のために投入されたことに由来します))の表記が、試作車の証です。
試作車とはいうものの、基本的な足回りは量産車と変わりませんので、量産車に伍して走りまわっています。

非貫通
松山方先頭の「2101号」は、登場時は貫通路つきで、ヘッドマーク受けもあったのですが、いつの間にやら扉は開かずの扉と化してしまい、ヘッドマークも設置されなくなりました。

側面
ほぼ完全な切妻である量産車とは異なり、やや丸みを帯びた側面が、2101号らしいところです
(あとは、前面に警戒色(黄色)の帯がないところもポイントです)。

号車札
量産車では号車表示等はLED化されたのですが、TSE編成では号車札が使われています。

LEDも横長
他方で、愛称と行先を交互に表示するのはLED装置という、折衷タイプです
(もっとも、量産車のそれとは形状が異なります。TSE編成のものは「横長」です・・・)。

乗務員室の跡
中間に入る「2201」号(2号車)には、かつての乗務員室のスペースが残されています。
また、乗降扉の窓が縦に長いタイプのまま残されているのも、識別点です
(量産車も当初は縦長だったのですが、数年前から小型窓への交換が進み、現在ではほぼ交換が終わっています・・・)。

基本的には、現在のTSE編成は量産車と連結せずに単独で運用されるのですが・・・

2001号は検査中
1号車が「2001号」じゃない!!

単行で突っ走る2001号
(画像は後日、関川駅に停車中の7000形の車内から撮影したもの・・・。18きっぷ片手に予讃線を東に移動していたら、単行で松山に向かっている「2001号」に遭遇しましたので、このときにはたぶん検査入場でもしていたのでしょう・・・残念・・・orz)

・・・ということで、全車TSE編成というわけには、いきませんでした・・・orz

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車内に入ります。
個人的には、2000形で唯一の全室普通車となる「2001号」に乗車するつもりでしたが、すっかり当てが外れてしまいました。
ということで、乗客の少ない時間帯ということもあって、3号車(自由席)の「2101号」の先頭席が確保できましたので、「バースデイきっぷ」利用ですが、自由席に乗車することにします。

リクライニング
新製から25年経過し、それまで割と酷使されていることもあって老朽化も進んでいるTSE編成ですが、座席の提供する掛け心地は決してバカにならないものがあります。
・・・というか、景気のいい時代に作られた車両だけあって、いろいろと“カネをかける”ことができているということも大きそうです。
座席の掛け心地は柔らかめ。
柔らかいといっても、8000系のリニューアル指定席のような詰め物をケチったズブズブ感では断じてなく、ソファのような掛け心地を提供してくれます
(掛け心地には個人差がありますが、私としてはこのように受けとめています・・・)。

棒フットレスト
TSE編成の地味な特徴のひとつが、バータイプのフットレストです。
まあ、これはこれでアリなんじゃないですかね・・・。

フットレストの謎
座席を回転させると、脚台の前後両方にフットレストが設置されていることがわかります。

スポット空調
もうひとつ、TSE編成と量産車を区別するものとして、このスポット空調の存在があります。
キハ185系ゆずりの設備ですが、どうして量産車に引き継がれなかったのか、わりと苦言を呈しておきたいところです
(ホント、夏には助かる設備だけに・・・)。

増設座席
2101号の車内を後ろから撮影してみました。
手前の座席と奥の座席では、背面の色が違っていることにお気づきいただけるかと思います
(ちなみに、天井の造りも量産車とは異なっています・・・)。

増設座席
2101号は、登場時には車端部に、ガチの「ソファ」を設置していたのですが、量産車の登場に合わせて改造工事が実施された際にソファは撤去され、量産車と同様の、FRPバックシェル・跳ね上げ式フットレスト装備の座席がソファの跡地に設置されたため、座席が異なっているのです。

なお、TSE編成は「世界初の制御つき振子式気動車」という野心的な車両だけあって、新製当時のJR四国内でも「ホントにこの車両は成功するのか?」という懸念が多分にあったそうで、「ダメだったときにはジョイフルトレインにすればいいじゃないの」といわんばかりに、ソファシートだのAV設備だのが設置されていました。
結果的には所要時間短縮に絶大な効果を発揮し、JR四国が「振子車両天国」になる礎を築くことになったのですが、最初のうちは何をするにしても不安から逃れられない・・・というところなのでしょうね・・・。

プレート類
ちなみに、TSE編成は鉄道友の会の「ローレル賞」(1990年)を受賞するとともに、その技術的先進性をたたえられて、鉄道車両としては珍しい「日本機械学会賞」も受賞していますが、2101号の運転台側には「ローレル賞」の記念プレートが設置されていました
(2001号には両賞の記念プレートが設置されています・・・)。

平成1年製
反対側の車番プレート。
だいぶ色あせています・・・。
「富士重工・平成1年」というプレートが印象的でした。

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乗務員室の跡
貫通路を抜けて、2号車である「2201号」に入ります。

荷物置き場
反対側は荷物置き場になっていました。
もっとも、仕切扉の外にあって客室から目の届かないこのスペースをどこまで安心して使えるか・・・となると、難しいところですね・・・
(我が国だからまだ何とかなる・・・という見方も、できなくはありませんが・・・)。

2201号
2201号の客室です。
2000系量産車が登場した際に使われていたものと同じシートモケットですが、だいぶ色あせてきています
(量産車はリニューアルの有無にかかわらずモケットの張り替えが進んでいますが、TSE編成では全く張り替えられていませんね・・・。これでも登場時のパステルカラー(?)のものからは張り替えられているのですが・・・)。

ある意味カラフル
後方から写してみました。
背面テーブルの色が、地味にカラフルです(←誉めていません)。
状態の悪いものから適当に取り替えているのでしょうが、それにしても適当すぎます・・・。

リニューアル車だけど・・・
上り列車では最後尾となる1号車ですが、本来は「2001号」が入るところ、検査中ということもあって「2151号」が代わりに入っていました(振子制御装置の関係上、2001号の代車としては2100形ではダメで、2150形を持ってこなければなりません)。

確かにリニューアルされた室内はきれいですが、

こちらはTSE編成への乗車を目的としている

・・・ため、あえて劣化した「2101号」に乗車しています・・・
(量産車には土讃線でも予讃線でも乗車できますが、TSE編成は「宇和海」の一部列車でしか乗れませんからね・・・)。

トイレ

洗面所
トイレと洗面所(2101号)。
だいぶお疲れ気味です。

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発車が近いことを知らせる車内放送に促されて、3号車の先頭席に戻ります。
定刻通り、21:16に宇和島駅を発車です。

さて、日中はどの区間でも割と混んでいる「宇和海」号ですが、岡山特急や高松特急との接続がなく、夜も遅い最終列車とあれば、宇和島駅での混雑は「お察しください」というものです。

私のいた3号車でいえば、10人もいなかったでしょう。
前面展望がのぞめるといっても、夜ではどこまで・・・というところもあるのですが、やはり前を見ながら乗車できるのはいいものです。

これで松山まで静か(エンジン音を除く)で快適な旅を・・・と思っていたのですが、甘かった・・・。

卯之町駅でおばちゃんグループが大挙して乗車してきて涙目・・・orz
(夜21時もまわって、あなた方何してるの・・・)

次の停車駅となる八幡浜駅で、半分ほど降りていってやれやれ・・・と思ったら、

八幡浜から乗ってきて真後ろに座ったおねーちゃんたちがうるさい

・・・一分一秒たりともしゃべるのをやめないくらい“うるさい”
(呼吸するようにしゃべらないでくれ・・・orz)

・・・ということで、最終列車の割には何だかんだいっても車内が半分埋まるくらいの乗客を集めているのですから、「宇和海」号恐るべし・・・です
(たまたま運が悪かっただけかもしれませんが・・・)。

こうして、ゆったりとエンジン音と走行音を堪能できることもなく・・・

松山到着
22:39、終点の松山駅に到着しました。
思えば、前日に「いしづち103号」(8600系電車)で到着したにもかかわらず素通りしてから、約37時間ぶりに戻ってきました・・・(苦笑)。

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ちなみに、各先頭車(実際には全先頭車ではなく、2~3両対象外の車両がいるらしいですが)のリニューアル工事が進む2000系ですが、このTSE編成については、先頭車・中間車を問わず、全車が“リニューアル工事の対象外”です。
実際、座席まわりはもちろん、車内外の至る所でガタというか老朽化が見受けられることは否めませんし、試作車ということで、量産車に合わせた改造工事が実施されているとはいえ、やはり細かいところで量産車とは異なっていることも確かです。

8600系電車の量産車が2年後(平成28(2016)年3月予定とのことですので、今となっては、「1年半後」と言った方が正確かもしれません)に登場し、「アンパンマン列車」と化した2000系「しおかぜ・いしづち」号を置き換えるとすると、玉突きで比較的状態のよい量産車がTSE運用を置き換えて、TSE編成は引退することになるのかもしれません
あるいは、それを待つことなく、新型特急気動車の量産先行車が導入されることで、直接置き換えられる可能性もあるでしょう
(すべて公式発表にもとづかない素人の憶測といえばそれまでですが、実際に乗ってみるとかなりガタがきていることもまた、確かなのです・・・)。

いずれにしても、この先がそれほど長いとは思えませんが、他方で、その走りっぷりは量産車に比べて何ら劣るものではないこともまた、確かです。
走っている限りは、できるだけ機会を見つけて乗車しておきたいものですね・・・
(どれだけ私に機会があるのかも疑問といえば疑問ですが・・・)。

あと、もし運用を終えたら、少なくとも1両は末永く保存してもらいたいと、割と真剣に思います
(多度津工場でも四国鉄道文化館でもかまわないので・・・)。
この2000系、JR以降に振子式車両が全国各地に導入されるきっかけとなった車両であり、JR四国に限らず、在来線高速化の歴史に燦然と輝く名車と形容して、全く問題はないと思うのですが、どうでしょうか・・・。

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ともあれ、これにて第二日の行程はおしまいです。
地元ということで、適当に駅前のタクシーを捕まえて実家に戻り、しばしの休息です
(「プアの分際でタクシーとは生意気だ!」と、怒られるかもしれませんが、翌日も無駄に朝早いので、歩いて帰ると遅くなるし体力も消耗する・・・もう若くないオッサンです・・・orz)。

「予讃線海回り・普通913D(その①)」につづく・・・
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キモメン兼デヴ兼クソヲタ兼フニーターで当然の帰結として“プア”・・・。略して“キモプア”。
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